パワハラに関してはよくご相談頂くケースとして、
つい厳しく社員を怒ってしまい、辞めてしまいました。パワハラ問題に発展した場合どう対処したら良いでしょうか?というようなケースがあります。
経営側にとって、パワハラはセクハラとともに頭の痛い問題です。
きちんと予防策を取っておいた方が良いでしょう。
企業方針の周知や社員研修など、具体的な方策について弁護士がサポートいたします。
また、「我が社には顧問弁護士がいる」という認識も、抑止力として効果的です。
パワハラ対策① パワハラとは
あなたの悩みを思い出に。弁護士の山田です。本日はパワハラ対策①と称してパワハラについてご説明していきたいと思います。
パワハラってよく聞きますけれどもパワハラという法的な定義はないんですね。
ただ一般的にはこういうことを言われています。
同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて精神的・身体的苦痛を与えるまたは職場環境を悪化させる行為という風に言われます。
職場内の優位性
職場内の優位性、どういうことかというとパワーハラスメントという言葉は、上司から部下へのいじめ・嫌がらせをさして使われることが多いんですけれども、それだけに限らず先輩後輩間、あるいは同僚間ですね、さらには部下から上司に対して行われるものもあります。
職場内の優位性には職務上の地位に限らず、人間関係や専門知識・経験など様々な優位性が含まれます。よくある例としてはたとえば部長が平社員に対して、上司と部下という関係でその優位性からパワハラが行われるということがあります。
ただそうではなくて経験、勤続20年の平社員の方がいらっしゃって、転職して新しい若い部長さんが入ってきたというような場合に、その平社員のほうが部長に対して「あんたこんなこともわからんの部長のくせに」というように侮辱したりするというのは、経験などの優位性からのパワハラいわゆる逆パワハラというものにもなりえます。
業務の適正な範囲
次に業務の適正な範囲を超えてというところなんですけれども、業務上の必要な指示や注意・指導を不満に感じたりする場合でも、業務上の適正な範囲で行われている場合はパワーハラスメント・パワハラには当たらないと言われています。
当然上司が部下に対して仕事上・業務上の指導とか助言とか教育とか必要になってきます。適正な範囲でちゃんと指導するということについては当然パワハラには当たりません。
ただ適正な範囲を超えて指導するということになるとパワハラになってくる。
その境界線はなかなか具体的なケースによって微妙なんですけれども一応そういう風に言われています。
パワハラの類型
パワハラの類型としてどういうものがあるのかというと六つの類型があると言われています。
1)身体的な攻撃~暴行・傷害
上司が部下に対して土下座させたり、たとえばものさしで頭を小突きながら「お前はどうしてダメなんだ」とかいうような場合、それはもう暴行とか傷害、刑事上の犯罪にもなるしパワハラにもなります。
2)精神的な攻撃~脅迫・名誉毀損・侮辱・暴言
脅迫とか名誉毀損とか侮辱・暴言ですね。「だからお前はだめなんだ」とかあるいは「殺すぞ」とか、そういったものは精神的な攻撃です。
3)人間関係からの切り離し~隔離・仲間外し・無視
人間関係からの切り離し、いわゆる仲間外れとか無視ですね。同僚同士での無視・仲間外れとかいうこともパワハラになります。
4)過大な要求~業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制,仕事の妨害
過大な要求。業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制とかですね。
例えばすごく莫大な量のファイルを持ってきて「じゃあこれ明日までにワープロ化しといてね」とかそういったもの、それは到底できないでしょうと、そういう過大な要求をあえてするということもパワハラになります。
5)過少な要求 ~業務上の合理性なく,能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じること
過少な要求ですね。業務上の合理性がなく,能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じること、昔窓際族という言葉とかありましたけどそういったものですね。
ほとんど仕事を与えないで軽微な作業をずっとさせる、わざとさせるというようなこともパワハラになる。
6)個の侵害 ~私的なことに過度に立ち入ること
個の侵害、プライベートのことですね。私的なことに過度に立ち入る、私が以前経験した例では、女性の上司が男性の部下に対して「あんたそんなこともできないから嫁さんが来ないのよ」というようなプライベートなことの指摘、これはやはりパワハラになるんじゃないかという風に言われます。
パワハラは誰がどんな責任を負う?
パワハラの行為者本人
パワハラは誰がどんな責任を負うのかというところなんですが、パワハラの行為者本人、パワハラをした人、これはもちろん民事上の責任として損害賠償を請求される、刑事罰に課せられるということもありえます。
お前殺すぞというようなことを言うと脅迫罪にもなりますし、あるいはずっとパワハラを継続的に続けることによって、その被害者の方がうつ病になったら当然傷害罪ということも考えられます。
あるいは民事上・刑事上だけではなくて社会的制裁として当然会社の懲戒処分が下される可能性がありますし、あるいはそういうことが万一世に出てしまってパワハラ部長だというようなレッテルを貼られたりしたら、やはり社会的制裁として極めて転職などもなかなか難しくなるようなことも出てくると思います。
事業主
行為者だけではなくて、会社、事業主ですね、これも民事上としての責任、損害賠償を請求される恐れはあります。
使用者責任と言って会社の従業員さんが行った不法行為とかについては会社の事業主が責任を負うというのがあります。
当然雇い主としてはそういうパワハラが会社内でないように配慮すべき安全配慮義務もありますので、そういったことで損害賠償を請求されるということもあります。
あと行政上の処分ですね。こういうことも考えられますし、社会的制裁、例えばマスコミとかに漏れて叩かれたり、ネットでの風評被害、こういったものも出てきます。
ということでこのようにパワハラというのは。そのパワハラをした人だけではなく会社も責任を負うということになるので、会社・全社員が一丸となってこのパワハラ対策を講じるというのが非常に大事になります。
次回はこのパワハラの具体的な対策についてご説明したいと思います 。
パワハラ対策② パワハラ対策の概要
あなたの悩みを思い出に。弁護士の山田です。
今回はパワーハラスメント2として、パワハラ対策の概要についてご説明したいと思います。
予防
①トップのメッセージ
会社がとるべき具体的対策としてはまず予防。
予防としてはまず会社トップ・経営者のメッセージ、組織のトップが職場のパワハラは許さない、職場からなくすべきだということを全従業員に対して明確に示す、これが出発点として必要です。
②ルールを決める
二番目としてルールを決める。
どういうことかと言うと就業規則に関係規定を設ける、労使協定を締結するとかです。あと予防解決についての方針・ガイドラインを作成するということが考えられます。
③実態を把握する
三つ目として実態を把握する。
実際職場でパワハラ、セクハラもそうですけれど、そういったものが行われていないのかどうか、従業員のアンケートを実施したりして、実際にどういうことが行われているのか実態を把握するということです。
④教育する
次に教育をする。
研修を実施したりあるいは勉強会を開いたり、そういったものをして、パワハラとはどういうものか、どういう場合がパワハラになるのか、そもそもなぜパワハラを防止しなきゃいけないのかとか、そういった研修会や勉強会を開くということです。
⑤周知する
周知する。
どういうことかというと、組織の方針、パワハラは許しませんよという組織の方針、会社の方針ですね。あるいはどういうことを会社として取り組んでいるのか、こういったものの周知啓発を実施するというところです。
たとえば被害者窓口ですね。パワハラ相談窓口、そういったものを会社に設けて、そういうことを会社はやっているから皆さん気軽に相談してくださいねというようなことを周知啓発するというのが大事になってきます。
解決
⑥相談や解決の場を設置する。
今のが予防なんですが、万一パワハラが起こった場合、あるいは起こりそうになった場合、そういったものの解決をどうするのかというところなのですが、まず相談や解決の場を設置するということです。
企業内外に相談窓口を設置し、職場の対応責任者を決める、あるいは外部専門家と連携する、弁護士とか社会保険労務士の方もされているかもしれません。そういったものと提携する、あとお医者さんですね、精神科のお医者さんと提携するということも考えられると思います。
⑦再発防止のための取組
再発防止のための取り組みということで、起こってしまった場合に、その行為者に対する再発防止の研修などを行うということで、行為者、要するにパワハラを起こした人に対して、そういうのはダメなんですよ、今後そういうことをしないようにという研修あるいは教育・再教育というのを行うのが必要になってくると思います。
以上ざっとですが具体的対策についてご説明しました。
実際厚生労働省のサイトからパワーハラスメント対策導入マニュアルが資料としてダウンロードできます。
非常によくできていますので皆さんも是非厚労省のホームページに行かれてダウンロードされて取っておかれるとすごくいいと思います。
次回はこのパワハラの具体的な対策の中身を一つ一つ見ていきたいと思います 。
厚生労働省「あかるい職場応援団」パワハラ対策についての総合情報サイト
パワハラ対策③ パワハラの予防
あなたの悩みを思い出に。弁護士の山田です。
今回はパワハラ対策③として、実際に具体的にどういう対策をしていくべきなのか、具体的な中身を見ていきたいと思います。
おさらいですけれども前回ご説明した通りパワハラ対策には予防の側面として、トップのメッセージ、ルールを決める、実態を把握する、教育する、周知するという対策がありました。
解決の側面としては、相談や解決の場を設置する、再発防止のための取り組みを行うこともあげられましたね。
①トップのメッセージ
今回はこのひとつひとつの中身を詳しく見ていきたいと思います。
まずトップのメッセージ。
◆パワハラは全従業員が取り組む重要な会社の課題であることを明確に発信する。
◆パワハラ防止がなぜ重要なのか、その理由も明確に伝える。
◆メッセージの発信とともに、具体的活動が早期に実施できるよう、準備をしておく
こういったことが大事ですね。前回申し上げた通り企業・会社のトップ・経営者・代表取締役などトップの人達が、全会社で全従業員が一丸となってこういうハラスメント、セクハラ・パワハラ・マタハラ色々ありますが、そういうハラスメントを撤廃するんだ、会社から無くすんだという強い意志を明確に発信するというのが必要になってきます。
どうしてそういうハラスメントを防止することが重要なのか理由も明確にして、この理由についてはもちろん社長さん個人の考え方これを伝えられるのもいいですし、企業というのは人・物・金といいますよね。その中の人が重要な会社の財産・宝なんですけれども、その人がたとえばパワハラで精神的疾患を負うとかそういうことがあると、その方自身がひどい被害を受けるだけではなくて、会社自体の業務の効率も悪くなる、あるいはそういう社内環境によって生産性が低下する、ひいては会社の損失になるというようなことを理路整然と説明するというのも必要になってくるでしょう。
それからそういうメッセージを発信するとともに、具体的活動が早期に実施できるように準備をしておくことも大事になってきますね。パワハラはだめなんだよということを会社のトップが発信する、それだけではだめで、じゃあ具体的に何をやるのかと問われた時に、それはまた今度ということでは到底説得力はありません。
ですからまずは準備とともにトップが明確なメッセージを発信するということです。
では具体的にどういうことをするのかというと、例えば社長が文章を作ってそれを全社員に配るとか掲示するとかそういうのがいいんじゃないでしょうか。
例えばこれも前回挙げましたけれども、厚労省のパワーハラスメント対策導入マニュアル、そこに記載があります。
それを参考にされるのも一つの方法だと思います。
例えばこういう感じですね
ハラスメント行為は人権にかかわる問題であり,従業員の尊厳を傷つけ職場環境の悪化を招く,ゆゆしき問題です。当社は,ハラスメント行為は断じて許さず,すべての従業員が互いに尊重し合える,安全で快適な職場環境作りに取り組んでいきます。
このため,管理職をはじめとする全従業員は,研修などにより,ハラスメントに関する知識や対応能力を向上させ,そのような行為を発生させない,許さない企業風土づくりを心がけてください。
令和元年○月○日
株式会社○○ 代表取締役社長△△△△
このようなこういう文章を作られるというのも一つ方法だと思います。
②ルールを決める
次に具体的な対策としてルールを決めるということですね。
労働協定・労使協定などでルールを明確化して労使一体で取り組みをするというのが大事になってきます。
あるいは相談者の不利益取扱いを禁止することを明確化するということです。パワハラ、セクハラももちろんそうですけれども、そういったものを受けているという事を相談したいというような場合、相談窓口を設けていても、それを相談することでかえって不利益な取扱いをされるというようなこと、これは絶対ないですよというのを会社の方できちんと明確にしておかないといけません。
そしてルールは分かりやすく記載する。法律用語を並べるようなものだとやっぱり分かりにくいですよね。そうではなくてルールを分かりやすく記載する、それから就業規則を変更する場合には労働組合とか労働者の代表者の意見を聞く必要がありますのでその辺りも注意して下さい。
いずれにせよルールを決める場合には、弁護士などの専門家に是非ご相談された上で決めるのが非常に有益だと思われます。
それから罰則規定の適用条件・処分内容を明確にする。
パワハラをしたから降格処分にするとか懲戒処分をするとかいうような場合には、どういった場合にはどういう懲戒にするのか、ある程度明確化することが必要になってきます。
③実態を把握する
続きまして3番目として実態を把握する。会社の方でパワハラが行われているかどうか、あるいはパワハラらしきものがないかどうか、こういったものについて実態を把握するアンケートを実施するということは重要でしょうね。
その際注意すべきは匿名、匿名でのアンケートにする、誰が記載したか詮索しないことを約束する。匿名にするということで実態の把握がしやすくなると思います。
あとこういう相談窓口がありますよ、相談窓口を設けたので相談してくださいと、社内的な相談窓口を設けた上でその紹介をするというのも有益になってくると思います。
④教育する
後は教育するですね。
社内研修を定期的に実施するというのが重要になってきます。
そして管理監督者と一般従業員に分けた階層別の研修が有益だと言われています。
特にやはりパワハラを起こしがちになる管理監督者ですね、上司にあたる方、それとパワハラを受ける可能性が高い一般従業員の方、それはやはり分けてそれぞれに合った研修をするのは非常に有益じゃないかなと思います。
あとは勉強会あるいは専門家を招いた研修これも効果的だと思います。特にパワハラに詳しい弁護士とかを講師に招いて全従業員さんに研修を行うこともすごく有益だろうと思います。
⑤周知する
次に周知するというところで、会社の方針やルール、相談窓口などを全社員に周知徹底する取り組みを行うということです。
先ほどトップがパワハラは許さないよというメッセージを発信すると言いましたが、そういったものをきちっと全社員にわからせるということ、あるいは会社の取り組みですね、どういう風にしてるのかを全社員にわからせる、それは非常に大事になってきます。
トップのメッセージを掲示する。例えば月いちでトップのメッセージを社内報に出すとか、朝礼とかで月に1回ぐらいそういうことをきちっと訓示するとかいうことも有益じゃないだろうかと思います。
後はパワハラを許さないというようなポスター、これも厚生労働省のホームページに行かれると、ポスターみたいなものをダウンロードできるようなので、そういうものを使うというのも一つ方法としてあります。
先ほど申し上げたように朝礼や社内報で案内するというのも有益じゃないかなと思われます。
これはパワハラ?
では具体的にこういうのはパワハラなのかなっていうことで、
1,指導するために個室に呼び,間違った対応を指摘し指導した。
これはパワハラになるでしょうか。これはやはりパワハラにはなりませんね。業務の適正な範囲、必要な範囲であれば指導することは
当然のことですから。それを感情を前面に押し出してバカだのどうのこうのそういったことで指導するというような、人の人格を傷つけるような指導方法はだめですけれども、適正な範囲での適正な方法での指導というのはパワハラには当たりません。
2,職場の同僚の誰に挨拶をしても無視され,社員旅行参加を拒絶された。
これはパワハラになるでしょうか。これは同僚なんですけれども、上司と部下という関係ではなくて、同僚に無視されている仲間はずれにされている、こういったものもやっぱりパワハラになるんですね。
3,上司から,プライベートのゴルフの送り迎えを無理強いされた。
これはどうでしょうか。私的なことについて、業務と関係ないことについて要求される強要されるというのはパワハラになると思われます。
4,上司が,失敗した部下に対して「この役立たず」と職場のメンバーに聞こえるように大声で叱責した。
さきほどの1番のように指導するというのはいいんですけれども、「この役立たず」というのはなかなか微妙な言葉ですけれども、職場のメンバー他の人に聞こえるように叱責するということ、これはやはりパワハラになり得るんですね。
私が扱った事例でも裁判の中で問題になったのが、やはりその指導の方法ですね。指導の方法としてその人だけに聞こえるようにその人を個別に指導するというのはセーフなんですけれども、たとえばみんながいる前で見せしめ的に大声で指導するというものについてはやはりパワハラになるんですよという裁判もありました。
具体的なスケジュールですね。スケジュールも例えばこんな感じでどうですかというものが厚労省のホームページに載っていますので、是非ご覧になって参考にされるといいと思います。
次回は具体的な対策の解決編についてご説明したいと思います 。
パワハラ対策④ パワハラの解決
あなたの悩みを思い出に。弁護士の山田です。
今回はパワハラ対策④として、具体的な解決窓口をどうするのかをお話したいと思います。
おさらいですけれども、前回パワハラの具体的な対策としては
予防
・トップのメッセージ
・ルールを決める
・実態を把握する
・教育する
・周知する
という予防面と
解決面として
・相談や解決の場を設置し
・再発防止のための取り組みを行う
というのはお話ししました。
今回はこの解決編の方をご説明したいと思います。
⑥相談や解決の場を提供する。
⑦再発防止策の検討
相談や解決の場を提供する、そして再発防止策の検討するというところなんですが、まず最初に相談窓口を設置しましょう。
相談窓口としては社内であれば人事とか労務部の方で窓口を設置するというのもいいでしょうし、あるいはカウンセラーさんを雇ってカウンセラーの人にやってもらうとか、また産業医の人にやっていただく。
規模が小さい会社で内部の設置が難しいということであれば、外部の専門家にお願いする、弁護士とかあるいはそういう相談窓口を専門に行っている企業というのもありますのでそういったところに頼むのも一つの方法でしょう。
いずれにせよそのような相談窓口を設置して、その上で相談しても不利益な取り扱いを受けないようにする、そしてそのことをきちっと周知するということが大事になってきます。
相談対応は二次被害を起こさないように特に慎重に行う必要があります。
また懲戒処分などは、専門家の意見も聞きながら行う。要するにパワハラを行った行為者に対してどういう懲戒処分を下すのか、パワハラだからいきなりクビというのだと、今度は逆に会社が訴えられる可能性があります。
そういうことでどういう懲戒処分が相当なのかというのを専門家の意見を聴きながら行うというのが大事になってくると思います。
具体的な流れ
具体的な解決の流れとしては、まず相談窓口を設置して、事実関係の確認、相談窓口でパワハラの相談を受けた場合には、どういった事実が行われているのか、その辺りを関係者の事情も聞いて確認をしていく。
そしてその行為者・相談者へのとるべき措置を検討するということですね。
実際にパワハラがあったのかどうか、もちろんその相談者の思い込みということもよくあることなんですけれども、あるいは行為者が実際にパワハラを行っていたという場合もあるでしょうし、そういったものについて事実確認をして、結局それで行為者・相談者にどういう対応を取るのか検討することになります。
そしてその行為者や相談者へのフォローをしていくということが大事になってきます。
そして再発の防止策ですね。再発防止策の検討が必要になってくるということです。
具体的には何度も言っているように、厚生労働省から出ているパワーハラスメント対策防止マニュアルがあります。
そういったものに詳しく載っていますので、具体的な対応についてはそれをご覧になっていただければいいと思うんですけれども、簡単にご紹介しておきます。
まず相談窓口ですね。これは相談しやすくするために相談者の秘密が守られることや不利益な取り扱いを受けないこと、相談窓口でどのような対応をするかを明確にしておきましょう。
人事担当者は相談者の上司・カウンセラーなどと連携し、適切な対応が取れるようあらかじめフォロー体制を整備しておくとともに、相談者のみならず第三者あるいは行為者からの相談を受け付けられるようにする、ということです。
だから パワハラを受けたという方からの相談だけではなくて、「ひょっとして僕はパワハラになるんですかね、僕がこのあいだ注意したことは」というように、パワハラをしたかもしれないというような方の相談も受けれるようにする、それも大事だと思います。
それから相談窓口の担当者の心構えとしては、相談者の話をゆっくり時間をかけて聞いて、内容の確認を急ぐあまり話を急かすようなことをしないようにしましょうということです。
私も職業柄弁護士としての立場でいろいろな方の相談を受けます。ただやっぱり時間がせいて要点だけを聞こうとするということがよくあるんですね、相談を聞く方としては。
ただそうなると事の本質が見えて来ない、相談者の実際の相談したいことが何なのかが把握できないということがよくあります。ですのでやはりゆっくりと時間をかけて言葉を相談者に言わせる、そして事案を把握していくということが大事だと思います。
後は相談者によっては軽微と思われる内容であっても、深刻な問題が潜んでいる場合もありますので、その対応次第では、例えば相談者に対して担当者の方はそれぐらいのしょうもない相談をしてくるなというような態度を示したら、結局、実際は深刻な事態に気づかないというようなこともあり、それがひいてはその相談者からの不信感となってしまって、きちっと相談をしないということになってきて最悪の結果を招くということもございますので、ぜひその辺りはきちっと対応する、注意したいということです。
それから相談者から死にたいなどの自殺をほのめかすような言動があった場合は、産業医などの医療専門家のルートを確立することが大切だと思います。
そして事実確認をした後はどうするのかというところですが、その前に事実確認、事実関係の確認をする時にはやはり行為者・第三者の確認というのは当然必要でしょう。
パワハラをされましたという相談者の言葉を鵜呑みにするのではなくて、実際にパワハラをしたとされる人の弁明の機会も与えるということは非常に大事になってきます。
それからあとは色眼鏡で見ないということですね。あくまで中立的な立場で事実確認をしていくというのが非常に大事になってきます。
あとは相談者あるいはパワハラをしたという方、それぞれの意見がどうも違うというような場合、この場合には同席者、あるいは目撃者、あるいは同様のパワーハラスメントを受ける者の事実確認を調査するということも大事になってくると思います。
それから非常に大事なのが、第三者に話を聞く時にはやはり守秘義務を十分理解してもらって、秘密が漏れないようにできるだけするということが大事になってきます。
たとえばパワハラをした人、あるいはパワハラを受けた人、それぞれのプライバシーに配慮した調査が必要になってきます。
事実関係の確認が取れて実際パワハラが行われてたということになった後は、どういう処置をするのか、どういうフォローするのかを社内的に検討するということになってきます。
その際にはやはり相談窓口の担当者だけでは判断しかねるということはよくあると思います。
そういう場合には外部の専門家、例えば弁護士とかですね。そういった方に相談しながら適切なフォローするというのが必要になってきます。
そして最終的に実際パワハラを行った人に対して、そんなことはいけないんだよ、今後はこういう風にしてくださいというような再発防止策、そういったものを取っていく、どういうのをすればいいのかっていうのもやはり弁護士などの専門家にご相談されるというのは非常に有益だと思います。
以上、パワハラの具体的な対策として解決の流れをご説明しました 。
厚生労働省パワハラ関連ウェブサイト
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